MEMORY

unforgettable 02 YOSHIYUKI OKUYAMA

shot by Kohei Adachi

shot by Kohei Adachi

2011年。台湾料理屋で出会った。くるりというバンドの表現に関わる方々10人くらいで大きな円卓を囲んだ。円卓のちょうど真正面に奥山由之氏が座っていた。静かな様子だった。遠くに座っていたので、ほとんど話す機会はなかったのだけれど、くるりの好きな曲を尋ねると気が合うことはすぐに分かった。それから徐々に、まだ大学生だった奥山氏と時間を過ごすようになった。写真家であることを知ったり、異次元の作品を手掛けていることを知ったり、ユーモアのポイントが似ていることを知ったりした。12歳も離れていることを忘れた。そもそも僕は先輩たちと過ごす時間の方が好きなタイプだったし、それを刺激的だと思っているような節があったので(W+K TOKYOで最年少だったこともあり)後輩の存在はどこか苦手だった。彼が覆した。

shot by Kohei Adachi

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深夜の東京の町をロケハンがてらにたくさん歩いた。誰か知らない人の家の庭をチェックしたり、駐車場の看板の光を裏側から長く見つめて、いいかもってなったり、アイスを食べ歩いたり。くだらない話と大切な話をたくさんした。視点が面白くて、何といっても洞察が鋭い。謙虚で意志が強い。インスピレーショナルだと思える瞬間が連続した。何者でもなかった青年はいつしか写真界の最前線をもの凄いスピードで走る存在になった。

2018年、夏。近所の焼肉屋で彼と夕食をした。「世界にはまだ逢えていない方がたくさんいると思います。一緒に逢いに行きませんか?」と真面目に言うから、20秒ほど考えて逢いに行くことを決めた。そんなこんなで奥山くんとインターナショナルなProjectを進めるようになった。

shot by Kohei Adachi

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大人になると経験が増えて、少し賢くなって、現実に直面してしまうような時に、いろいろ分かったふりをして臨機応変に対応してしまう(諦めてしまうのに似てる)ようなことが多くなる。奥山くんにはそれがない。ずっと子供のような情熱で最高速で追いかけている(子供っぽく聞こえてしまうかもだけれど、このポイントが最も大人っぽくHeroicでもある)。近くで見ているとなんだか勇気が湧いてきて、チャレンジしたいという気になる。大事な存在である。

2020年, 春。奥山くんとの最新アウトプットはこちら。それはあの頃のような突き抜ける青。どこまで行こうか。

shot by Yoshiyuki Okuyama

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Kohei Adachi